北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2020年09月03日
(316) ジョブズやダイアナ妃も登場 「学習まんが」に新しい風

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第316回
『西日本新聞』北九州版 2020年8月27日(木)朝刊 19面掲載

ジョブズやダイアナ妃も登場 「学習まんが」に新しい風

 みなさまは「学習まんが」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?私の中では、お堅くてなんとなく苦手なイメージがありました。ところが、最近ではこの学習まんがの世界にも新しい風が吹いているようなのです。


 まず驚いたのは、伝記まんがの種類。これまでのスタンダードな武将等に加え、スティーブ・ジョブズやダイアナ妃など、現代の子どもたちの記憶にも新しい著名人が、これまでとは違った角度から幅広く出版されるようになりました。

 さらに、学習まんがの専門家だけでなく、通常の少年・少女まんが雑誌で活躍した漫画家の起用も増えています。先月3日に講談社より発売されたばかりの「学習まんが 日本の歴史」シリーズでも、『少年マガジン』などで連載を手掛けていた錚々たる顔ぶれの漫画家が執筆を担当しています。版元のこの姿勢からは、正確な歴史を伝えながらも、「まんが」としての面白さも追及する意欲を感じることができますね。

 さて、この講談社のシリーズでは、北九州市出身の漫画家・井上正治先生が、飛鳥時代から平安前期までの3巻分をご担当されました。ここでは、太宰府天満宮ゆかりの菅原道真なども登場し、古代日本が国家として成立していく激動の時代が描かれます。読みやすくテンポの良い構成や、強い意志を宿した登場人物の表情などから、井上先生が『マラソンマン』などスポーツまんがで長年培われた技術を感じることができますね。

 あなどれない最新の「学習まんが」の世界。久々に読んでみると、新しい発見があるかもしれませんよ。

(図書担当 田中千尋)

 

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■講談社 学習まんが 日本の歴史 特設ページ