北九州漫画ミュージアム

展示・イベント

企画展示

2017年2月25日〜2017年4月28日
海峡マンガ合戦 vol.11 ヴァンサン・ルフランソワ「日本にある街」

日本漫画家協会 九州・中国ブロック 展示コーナー

海 峡 マ ン ガ 合 戦

vol.11 ヴァンサン・ルフランソワ

「日本にある街」

2017年2月25日(土)~4月28日(金)

 

6階常設展示エリア「漫画こぼれ話」では、「海峡マンガ合戦」と題して、日本漫画家協会の九州ブロックと中国ブロックに所属する作家のミニ個展を継続的に開催しています。

2月24日(土)から4月28日(金)までは、九州ブロック会員であるヴァンサン・ルフランソワ先生の作品を展示します。

ルフランソワ先生は、フランス語圏独自の漫画表現である「バンド・デシネ(BD)」を手掛けるほか、イラストレーターとして活躍しているアーティストです。1991年に母国フランスから福岡市に移り住み、以来福岡の風景や日常の情景をユニークな視点から描き続けています。2つの文化を土台に活動することから、文化や習慣の「ズレ」を注意深く観察しているルフランソワ先生。その目を通してみると、描かれる身近なはずの景色に「新鮮さ」と「驚き」を感じるでしょう。

今回は「日本にある街」と題して、自身が生活する福岡市を舞台にした作品を中心に展示。見知った場所の「未だ知らない」魅力を発見しに、ぜひお越しください!

【3月9日更新!】
本展の展示作品も掲載された、ルフランソワ先生の自費出版作品集『日本にある街』が、
当館でも販売スタート!直筆サイン入り、税込800円でお取り扱いしております。
この機会にぜひお求め下さい!

旦過市場前を舞台にした新作イラスト ©ヴァンサン・ルフランソワ

 

[ルフランソワ先生 コメント]

「日本にある街」
人生の半分以上を日本ですごした今日でも、
私は、自分が日本人になることは決してできないのだと知っています。
私たちはいつも、自分が幼い頃から育った文化というものに所属し続けるものなのです。
これほどの年月を暮らしたにも関わらず、この国は今でも私に魅力を感じさせ、また驚きを与えてくれます。
日常の中にある刺激的な、ちょっとした文化的「ズレ」を描きたいと私が思ったのは、そんな訳でした。
今回展示するのは、いずれも雑誌か個展のために制作をした物語です。これらの作品では、
日本の街について、アイデンティティの在処を問う情景へと読者を連れ出すことを目的とし、
日常的な現実の詩的次元をよりよく表現するよう努めました。
日本に降り立ったその日から、私は福岡で暮らしています。
この街で就職し、この街で結婚し、大人になってからの人生は、すべてこの地で築いてきました。
福岡には、私自身のあらゆる思い出が詰まっています。
私がこの街を選んだのではなく、この街が私を迎え入れたのです。
 日本のどこか他の場所であっても幸せに暮らせたかもしれないとか、
ある日ここから去るかもしれないとか、そういったことは重要ではありません。
ただ今日、私が「ここが私の街です」と言えるのは、
世界中のどの場所をとっても福岡以外にありえないのです。
しかし私の作品がどれも福岡の地域にまつわるものだとしても、
それはもちろん同時に、私が語る「日本の姿」でもあります。

【ヴァンサン・ルフランソワ プロフィール】

1966年  フランス・ルーアン生まれ

1985年   パリ・ソルボンヌ大学の造形芸術学部。
1988年   造形芸術学部の免許を取得。
1991年   フランス外務省より福岡へ旅立つ。
1997年 「JR九州」福岡広告祭で金賞を受賞。
1998年   福岡市美術館にて日本で初の個展開催。
2000年   西日本新聞の連載の挿し絵を担当。
2002年   雑誌TOKYO WALKERとのコラボレーションを開始。
2005年   谷口ジローの漫画などのアダプテーションを開始。 個展「放浪」九州日仏学館。
2007年   雑誌ソトコトとのコラボレーションを 開始。
2008年   朝日ウイークリーでの連載 。NHK毎日フランス語での連載を開始。
2009年   朝日ウイークリーでの連載。
2010年   個展「放浪 II」九州日仏学館。
2011年 個展「放浪」東京日仏学館。「クイズで楽勝♪フランス語」(NHK出版)。
2012年 フランスのボルドー市との姉妹都市30周年の イベントとして
     福岡のガイド本「En Décalage」
を担当。ボルドーにて30周年式典の開催。
    
 毎日新聞の創刊140周年を記念しキリンビールより依頼され毎日新聞に掲載。
2013年   世界のマンガの教育と文化の交流をはかるシンポ ジウム
    
「海外マンガフェスタ」に個人の作家として参加。
     ガイドブック「デカラージュ」の日本語版を
発行する。
2014年 在日フランス大使館の年賀状のイラストを担当。
    
 九州国立博物館発行の季刊誌「アジアージュ」 にて、
     連載「Fantastic Museum」を担当。
2015年   アングレーム国際漫画祭に招待され、漫画のラフィック・アダプテーション
    についての講演をする。
    
最新の作品群を収録した本「人生半分日本暮らしを発行。
    日本漫画家協会会員になる。
2016年    アンスティチュ・フランセ九州にて新しいBD作品群の個展開催。
    
 展示作品の「日本にある街」を発行。
    「
奇跡の絶景」(講談社)出版では修道院モンサンミッシェルの伝説を描く。

 

 

【このコーナーについて】 日本漫画家協会 九州ブロックと中国ブロックの漫画家の皆さんの作品を展示してご紹介する、常設コーナーです。関門海峡をのぞむ北九州の風土にちなみ、「海峡マンガ合戦」と名づけました。双方のブロックから交互に作家が「出場」し、腕を競い合います。とは言え、「漫画/まんが/マンガ/MANGA」は非常に幅広く、多種多様な表現方法があります。海外には「コミック・ストリップ」や「バンド・デシネ」など、日本の漫画とは異なる表現方法のものも。ここでご紹介する作家・作品も、風刺漫画やストーリー漫画、イラストエッセイなど、とても幅広いものになるでしょう。それぞれの魅力にふれていただき、漫画の豊かな可能性を感じ取っていただければ幸いです。

【日本漫画家協会について】 日本漫画家協会(JCA:The Japan Cartoonists Association)とは、様々なジャンルの漫画家たちで構成される公益社団法人です。正会員1126名と、名誉会員7名、賛助会員59法人をあわせて、1192名の会員が所属しています(2016年4月1時点)。優れた作品や作家を表彰する「日本漫画家協会賞」の選定をはじめ、漫画文化の振興につとめています。