北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2020年09月25日
(319)釜山の魅力伝えるオリジナル作品 昨年度の交流振り返る

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第319回
『西日本新聞』北九州版 2020年9月17日(木)朝刊 21面掲載

釜山の魅力伝えるオリジナル作品

昨年度の交流振り返る

 実在する街の風景をマンガの背景に使うことは以前からひろく行われていましたが、写真のデジタルデータを背景に転用できるようになってからは特に顕著です。名所・名物や土地柄を物語に盛り込んだ「ご当地マンガ」も次々にヒット。言葉や習慣など地域の特色が読者に新鮮な驚きを生むだけでなく、舞台になった地元からも、街のイメージ向上につながると歓迎されています。
 韓国の釜山では近年、若手作家が釜山を舞台とするウェブトゥーン(=インターネットでの閲覧に最適化した縦長の韓国式マンガ)を描き下ろす「釜山ブランドウェブトゥーン」事業を続けています。街の魅力の発信と作家育成を兼ねたもので、主催は市の関連団体である「釜山情報産業振興院」。北九州市漫画ミュージアムは同振興院と18年に提携協約を結んでおり、昨年は北九州ゆかりの若手マンガ家3名を釜山に派遣しました。作品は昨年の「北九州国際漫画祭」で公開した後、翻訳されて韓国でウェブ公開。大いに好評を得ています。
 例えばタネオマコトさんの「Ogre&Girl(鬼と少女)」は、世界が謎の崩壊を遂げた後というマンガならではの大胆な設定のもと、実在する「釜田市場」のアーケード空間を活かしたアクション作品です。林たかあきさんの「精霊」、ラクトいちごさんの「赤鬼と青鬼」と合わせ、合計3作品を10月5日(月)まで常設展内「あしたのギャラリー」にて展示中。釜山へ気軽に足を運べるようになるのはまだしばらく先でしょうが、作品を通じてしばし釜山に思いを馳せてください。

(専門研究員・表智之)

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