ひとことブログ

2020年07月08日
(309)星里もちる「セルと羽根ぼうき」アニメ撮影にかける青春

 連載コラム『出会い  探検  漫画ミュージアム』第309回
『西日本新聞』北九州版 2020年7月2日(木)朝刊19面

星里もちる「セルと羽根ぼうき」アニメ撮影にかける青春

 私たちにとても身近な存在である、テレビアニメ。現在年間約330本のタイトルが放送されています。近年、配信サービスの台頭によりデジタル市場が拡大しているアニメ業界ですが、その製作工程もほとんどデジタル化されています。コンピューター上で描画・彩色したものを動画として繋ぎ合わせる形がスタンダードですが、かつてはセルと呼ばれる透明なシートや画用紙に手描きされた絵を、カメラで1コマずつ地道に撮影していく手法が取られていました。

 そんな「セル画時代」のテレビアニメ製作現場について、北九州市ゆかりの漫画家である星里もちる先生が興味深い作品を連載中です。その名も「セルと羽根ぼうき」。1981年、東京のアニメ撮影スタジオに就職することになった九州出身の純朴な青年・藤木さとるは、愛するアニメの製作に携わることに舞い上がるも、繊細さと緻密さ、正確さと迅速な判断が要求される過酷な現場に翻弄されます。24コマ撮影して、やっと1秒のアニメができるという撮影の世界。しかし関わった作品が1本の映像になると、言葉に代えがたい感動がそこにはあって…。自身の若き日の経験を元にしたというリアリティ溢れる描写に、引き込まれること必至です。

 21世紀に入る頃から徐々にデジタル製作にシフトし、失われていったセルアニメ撮影の現場。それを鮮やかに蘇らせた本作は、熱い“お仕事漫画”であると同時に、歴史を語る貴重な証言とも言えるでしょう。本作に登場するのと同じ時代の貴重なアニメ撮影台が、門司港にある松永文庫で展示されていますので、作品と合わせて要チェックです!

(学芸員・石井茜)

=Links=
◆「セルと羽根ぼうき」モバMANサイト
◆松永文庫 公式サイト

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