ひとことブログ

2021年01月14日
(331)ルネー・ノールト『侍女の物語』鮮烈な色彩が訴えるもの

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第331回
『西日本新聞』北九州版 2020年12月17日(木)朝刊 19面掲載

ルネー・ノールト『侍女の物語』
鮮烈な色彩が訴えるもの

 年末年始の恒例企画展「北九州国際漫画祭」は今回で第5回の節目を迎えます。例年、海外から作家を招くなど、交流イベントも多く行ってきましたが、今回は人が移動しての交流に制約が伴う中での開催。そんな今だからこそ、海外アーティストの作品や、インターネットを活用し実現した国際交流事業を紹介し、未来への希望へつなげることを目指しています。

今年のメイン展示は、カナダの作家、マーガレット・アトウッドによるディストピア小説を、同じくカナダのアーティストであるルネー・ノールトがグラフィックノベル化した『侍女の物語』の作品展です。本作は、カナダのみならず多くの国・地域で出版され、今年には日本語版も発売されるなど、高い評価を得ています。

 『侍女の物語』の舞台は、キリスト教原理主義を掲げる過激派組織に支配された近未来の独裁国家。その男性優位の社会では、女性は「貞淑な妻」「支配階級の子供を産むために仕える侍女」「家の仕事をする女官」など年齢や立場に応じて固定的な役割を背負わされ、財産や教養を得ることを禁止されている。自由と多様性が欠如した過酷な世界で、それでも生きていく女性たち…。

 全ページがフルカラーの水彩画で描かれた本作は、美しくも、時に強烈な色彩表現が特徴的。「妻」は青、「侍女」は赤など、「役割」ごとに身に着ける衣服の色が決められた女性たちの不自由さや、支配されることの陰鬱さが、鮮烈な色彩でありありと語られます。原作の持つメッセージ性をより強く伝える色の魔法を、本展で感じていただけると幸いです。

(学芸員・石井茜)

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