北九州漫画ミュージアム

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2025年06月01日
(540)漫画原作ドラマ「ドンケツ」 生身の俳優が演ずる魅力

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第540回
『西日本新聞』北九州版 2025年5月18日(日)朝刊 20面掲載

漫画原作ドラマ「ドンケツ」
生身の俳優が演ずる魅力

 漫画を原作とする実写ドラマは、漫画の面白さに実写ならではの魅力を加えて、より幅広いファンに届くことが強みです。動画配信サービス「DMM TV」で配信中のオリジナルドラマ「ドンケツ」も、北九州ゆかり漫画家・たーし先生のヒット作「ドンケツ」を原作に、個性あふれる印象的なキャラクターと、めりはりの利いたテンポの良いストーリーで好評を博しています。

 キャラの魅力は漫画の重要なポイントで、絶世の美女や筋骨隆々たる戦士など、極端な表現は漫画ならでは。実写では、生身の人間が演ずる故の制約を、俳優の演技や監督の演出でどう乗り越えるかが腕の見せどころです。「ドンケツ」は北九州を舞台にヤクザの抗争を描き、凄みの利いたワルが大勢登場。主演する、本来は優しい顔立ちの伊藤英明さんを筆頭に、イケメン俳優が荒くれ者をどう演ずるか、配信前から注目を集めていました。

 結果は、期待以上の素晴らしい仕上がりが話題を呼んで大好評。俳優の表情、声、せりふ回しや物腰が、荒々しさだけではなく、一筋縄でいかない深みのある手ごわさと、時折見せる人間臭さを濃厚に発し、重厚な画面づくりとキレのいい構成が存分にそれを引き出しています。ヤクザ社会の鉄の掟と昔なじみに対する友情の板挟みや、「親分」「子分」の間で結ぶ縁には全力で報いるさまなど、ヤクザなりの人間味を感じさせるストーリーも、生身の俳優が演ずる分、漫画以上に胸に迫る部分があります。

 見慣れた風景の中で展開する、丁々発止の人間ドラマを、ぜひお見逃しなく!

(学芸担当係長 表智之)

=LINK=
▶ドラマ「ドンケツ」公式サイト(DMMTV)
▶漫画「ドンケツ」公式X