2025年08月08日
(551)町田さん原作「コンビニ兄弟」連載開始 心温まる物語、漫画でも
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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第551回
『西日本新聞』北九州版 2025年8月3日(日)朝刊 16面掲載
町田さん原作「コンビニ兄弟」連載開始
心温まる物語、漫画でも
先月4日、WEB漫画誌「コミックバンチKai(カイ)」にて、北九州市文化大使の小説家、町田そのこ先生による小説を原作とした『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』(漫画:瀬戸ましお、/新潮社)の連載が始まりました。
本作は、九州だけに展開している架空のコンビニ「テンダネス」の「門司港こがね村店」を舞台に繰り広げられる人々の交錯を描いたショートストーリーで、登場人物ひとりひとりの心の機微や成長が丁寧に紡がれた物語です。
漫画は瀬戸ましお先生が担当。過剰すぎるほどの丁寧な接客と妙な艶っぽさで人々を魅了する店長・志波(しば)三彦をはじめとする個性豊かな登場人物たちと美しい門司港の風景が、原作の親しみやすい雰囲気をそのままに描写されています。
小説のコミカライズにおいては、世界観が失われない程度に内容の加筆修正を行う情報整理や、コマ割りや吹き出しなど漫画ならではの表現法を用いて面白さを引き出す工夫が求められます。
今回のコミカライズでは、原作にはないオリジナルのプロローグからスタート。物語の中心となる志波の魅力が伝わる導入で、読者の興味を惹きつけます。本編に関しても、限られたページながら話がしっかりとまとまっており、テンポの良い読み心地となっています。
さて、物語はまだ始まったばかり。今後、登場するであろう個性豊かなキャラクターたちや、門司港のレトロな街並みはどのように表現されていくのでしょうか。門司港を舞台にしたクスっと笑えて、ほろりと泣ける心温まるストーリー、みなさまもぜひご一読ください。
(図書担当・原田佳織)
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