ひとことブログ

2020年11月26日
(327)小倉出身・畑中純作品展 北九州舞台に人間ドラマ

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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第327回
『西日本新聞』北九州版 2020年11月19日(木)朝刊 21面掲載

小倉出身・畑中純作品展 北九州舞台に人間ドラマ

 漫画ミュージアムでは、現在「ゆかり漫画家」を紹介するコーナーを設けています。7日からは小倉出身の畑中純先生(1950-2012)を取り上げています=写真。19年から漫画原稿や版木を遺族からお預かりしており、北九州を舞台にした「玄界遊俠(ゆうきょう)伝 三郎丸」「まんだら屋の良太」の原稿を展示しています。

 畑中先生は小倉から上京後ひとコマ漫画作品集『それでも僕らは走っている』を74年に自費出版し、79年からは映画化もされた代表作「まんだら屋の良太」を連載。宮沢賢治作品を題材とするなど、才能豊かな版画家としても活躍しました。2007年からは東京工芸大学マンガ学科で教鞭をとり、「漫画ミュージアム基本コンセプト検討委員会」の実行委員も務めました。

 「まんだら屋の良太」は『週刊漫画サンデー』に1979年から約10年に渡り連載されました。主人公・良太と月子という高校生を中心に、架空の温泉街「九鬼谷温泉」に集まる人々のドラマを描きます。畑中先生は漫画だけでなく味わい深い文章もたくさん残した方で、それによると九鬼谷温泉は小倉の南端にある山あいのどこか、「桃源郷」のように存在している設定だそうです。作中には魚町銀天街など、現在も人がにぎやかに行き来する場所も描きこまれました。なお、「良太」が連載された70年代は地方を舞台にした漫画が発表され始めた時期でもあり、北九州の方言が随所で自然に使われているのも印象的です。

 畑中先生の人間味あふれる作品を、ぜひ一度ご覧頂ければと思います。

(学芸研究員 柴田沙良)