北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2026年09月28日
(609)マンガ家のアトリエ再現コーナー 仕事場をそのまま保管

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第609回
『西日本新聞』北九州版 2026年9月27日(日)朝刊 16面掲載

マンガ家のアトリエ再現コーナー 仕事場をそのまま保管

 漫画ミュージアムの常設展示室内には、門司出身のマンガ家・関谷ひさし先生のアトリエを再現したコーナーがあります。展示している仕事机や道具、資料は、ご遺族から寄託いただいた「本物」。デジタルツールがマンガ制作の主流なって久しいですが、ここには「往年のマンガ家の仕事場」がそのまま保管されているのです。

 関谷先生は1928年生まれ。地元の新聞「まんが新九州」などでマンガの執筆や紙面の編集を経験した後に上京し、昭和30年代には明朗快活な少年マンガで一世を風靡しました。スポーツものを得意としており、当時、長嶋茂雄の登場などによって少年たちが熱狂していた野球と、62年の鈴鹿サーキットの完成以降、関心が高まりつつあったカーレースを題材にした作品で一躍人気作家となりました。

 さて、関谷先生は大変な車愛好家でもありました。実際にスタイリッシュなスポーツカーを所有し、仕事の合間をぬってドライブを楽しんでいたといいます。作画においても、車の格好良さとリアルさを追求し、あらゆるカメラワークで躍動する車体を描きました。

 そんな関谷先生のアトリエには、ペンやインクなど使い込まれた道具のほか、ファイルや雑誌が大量に置かれています。特に目を引くのが、スポーツカーの専門誌や、車が被写体となった美しいグラビアの切り抜き。趣味と実益を兼ねた資料の数々に、作家の息づかいまでが感じられます。ご来館の際は、ぜひ注目してくださいね。

(学芸員・石井茜)