ひとことブログ

2022年04月08日
(384)約7万冊の閲覧ゾーン 成長に応じた読書提供

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第384回

『西日本新聞』北九州版 2022年4月3日(日)朝刊 14面掲載

約7万冊の閲覧ゾーン 成長に応じた読書提供

 北九州市漫画ミュージアムには、約7万冊の漫画を自由に読んで、ゆったりとくつろぐことのできる閲覧ゾーンがあります。今回はそんな閲覧ゾーンにおける漫画の並べ方の工夫について紹介します。

 当館の書架は一般的な書店とは異なり、著者名の五十音順で並んでいます。これは、一人一人の漫画家の仕事全体を、掲載誌のターゲット(性別や年齢など)を超えて眺めることで、新しい出合いや再発見につなげることが狙いです。

 この中で配慮しているのは、漫画は大人向けと子ども向けの作品が混在して流通している点です。これらを画一的に並べてしまうと、子どもが無意識、無自覚のまま大人向けの漫画を読んでしまう恐れがあります。せっかくの傑作も、文脈や背景の理解がおぼつかない年代で目にしてしまえば、ショックを受けるだけに終わることもあり得ます。

 当館は、書架の中で高さを区切り、大人向けの作品を高い場所に並べること(ゾーニング)で、子どもが意図せず大人向けの作品に触れてしまうことを防いでいます。一方で、本人が望んで作品を読もうとしている場合には、備え付けの踏み台などを使って手に取ることもできます。

 大人と子どもの間に機械的に線を引いて、やみくもに制限するのではなく、本人の意思を尊重し、個々の成長段階に合わせた読書体験を提供することが当館の方針です。

 新生活が始まる季節。当館では新しい漫画との出合いがあるはずです。ぜひ遊び来てくださいね!

(図書担当 田中千尋)