北九州漫画ミュージアム

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2022年04月16日
(385)新名誉館長わたせせいぞう 開館10周年の新たな顔

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第385回

『西日本新聞』北九州版 2022年4月10日(日)朝刊 18面掲載

新名誉館長わたせせいぞう
開館10周年の新たな顔

 北九州市漫画ミュージアムの名誉館長に、本市ゆかりの漫画家・イラストレーター、わたせせいぞう先生が就任しました。昨年6月末に一身上の都合で退任された漫画家の松本零士先生に続く2代目として、当館の取り組みを見守っていただきます。

 わたせ先生は1945年神戸生まれの小倉育ち。74年にデビューし、83年から講談社の『モーニング』で連載したオールカラー4ページの「ハートカクテル」などが有名です。

 北九州市民にとっては、先生が手掛けた漫画やイラストの原画などを展示している門司港レトロ地区の「わたせせいぞうと海のギャラリー」(2002年オープン)でもおなじみですね。同地区の旧大連航路上屋が13年に改修される以前には、外壁に大きな壁画もありました。

 今年2月発売の『わたせせいぞう自選集 ハートカクテル~スプリングストーリーズ~』(小学館)には、記念すべき「ハートカクテル」第1話「バラホテル」が収録されています。

 ある港町を15年ぶりに訪れた男。そこは彼の故郷で、両親の経営するホテルが破綻し、人手に渡った苦い記憶が胸中をよぎり…という切ない物語ですが、実は自身の実体験が下敷きになっているとのこと。同書のあとがきでは「小倉を心の中から消し去ってしまった」ほどの苦い思いが、時とともに和らぎ、ほどけ、「失われた時をとりもどすかのように」、本市にさまざまに関わり始めた経緯が率直に語られています。

 わたせ先生の熱い思いを当館も受け止め、開館10周年の節目の年をまい進して参ります。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

(専門研究員 表智之)

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特設ページ「わたせせいぞう名誉館長が就任しました!!」 ※直筆メッセージなど掲載