北九州漫画ミュージアム

展示・イベント

企画展示

2015年5月16日〜2015年7月10日
アニメ映画「この世界の片隅に」レイアウト展~戦時下の暮らしを調べ、描き、残す~

 家族。 ごはん。 スケッチブック。

昭和19年、20年…… 広島、呉……

そこにあったのは ささやかな毎日

(C)こうの史代/双葉社・「この世界の片隅に」製作委員会

 
こうの史代の漫画作品を原作に、片渕須直監督とアニメ制作スタジオMAPPAによって、長編アニメーション映画「この世界の片隅」の制作が進められています。このアニメ作品の「レイアウト(画)」=背景として描かれる風景や街並みを詳しく設定したデザイン画をご紹介する展覧会を開催いたします。
 
 
アニメ映画「この世界の片隅に」レイアウト展
 ~戦時下の暮らしを調べ、描き、残す~
 
【会 期】2015年5月16日(土)~7月10日(金)
【会 場】北九州市漫画ミュージアム 6階 常設展示エリア「あしたのギャラリー」
【観覧料】常設展チケットまたは年間パスポートが必要です
【主 催】北九州市漫画ミュージアム、「この世界の片隅に」製作委員会
物語の舞台は、昭和18年から21年にかけての広島。江波に生まれ育った少女・すずは、軍港の街・呉の北條家へと嫁いでゆきます。悪化していく戦況が暗い影を落とす中、素直で働き者だが少々抜けていて、絵を描くのが好きなすずと、夫・周作ら北條家の暮らしを、淡々とした筆致で描いていきます。

戦時下に「幾つも転がっていた筈の「誰か」の「生」の悲しみやきらめき」(作者あとがきより)を描き、記憶し、受け継ぐこと……原作者・こうの史代 の想いを、前作「マイマイ新子と千年の魔法」で昭和30年の山口県防府市を細やかに描いて国際的に高く評価された片渕須直監督がしっかりと受け止め、当時の広島の街並みや建物、衣服や調度品や食べ物などを丹念に調べながら、アニメの制作が進められています。

今回の展覧会では、レイアウト画の実物は作画作業に必要であるため、複製したものを展示しますが、細々と描き込まれた背景のディテールから、調査にかけた膨大な手間と、作品にかける熱量の高さとを、感じ取っていただけることでしょう。
 

 ★片渕須直監督によるトークイベントも開催!!

日時:2015年6月6日(土) 午後1:00~2:30

場所:北九州市漫画ミュージアム 6階 イベントコーナー
定員:50名(先着)
参加費:常設展チケットまたは年間パスポートが必要です
参加申込:5月10日(日)以降に電話またはメールにてお申し込みください
 電話 093-512-5077(11:00~19:00、毎週火曜休館)
 
◆片渕須直(かたぶち・すなお)プロフィール
1960年、大阪府生まれ。日本大学芸術学部にてアニメーションを専攻し、池田宏や月岡貞夫に師事。様々なアニメ作品の演出・脚本・絵コンテ等を手がけ、スタジオジブリ作品「魔女の宅急便」では演出補を務めた。監督としての代表作は「この星の上に」(1998年)「アリーテ姫」(2000年)「BLACK LAGOON」(2006年)「マイマイ新子と千年の魔法」(2009年)など。国際的にも高く評価され、「この星の上に」でザグレブ国際アニメーション映画祭入選・アヌシー国際アニメーション映画祭特別上映、「アリーテ姫」で東京国際アニメフェア長編部門優秀作品賞、「マイマイ新子と千年の魔法」でオタワ国際アニメーション映画祭長編部門入選・第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞などを受けた。2013年には、こうの史代のキャラクターデザインによるNHK復興支援ソング「花は咲く」アニメ版も手がけている。
 
◆こうの史代「この世界の片隅に」 
戦争体験のない者がヒロシマの悲劇にどう向き合い、記憶するべきか、細やかな筆致で切々と描いた「夕凪の街 桜の国」に続いて、こうの史代が再度戦時下の広島に取り組んだ意欲作。2006年から2009年にかけて『漫画アクション』(双葉社)に連載され、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞したほか、2011年にはTVドラマ化もされた。