北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2023年08月14日
(451)増える収集品 保存に難しさ 一冊一冊大切に読んで

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第451回

『西日本新聞』北九州版 2023年8月6日(日)朝刊 24面掲載

増える収集品 保存に難しさ
一冊一冊大切に読んで

 北九州市漫画ミュージアムは8月3日がお誕生日。なんと、今年で11歳になりました!館の年月の積み重ねは、閲覧ゾーンで収集してきた資料の数でも感じることができます。毎年少しずつ新刊を買い足してきましたが、収蔵庫を含め本棚の容量はもう満杯。昨年には大きな棚を3つも追加しましたが、それでも追いつかないほど新しい漫画が増え続けています!

 今年は外出自粛の要請もなくなり、館内も以前の賑わいを取り戻しています。多くのお客様に漫画を手に取って楽しんでいただく半面、漫画単行本の保存の難しさも実感しています。

 当館は多い時で1日に500人ほどのお客様にご来館いただくのですが、無線綴じでソフトカバーの単行本はハードカバーの本に比べて、繰り返し読むことで表紙やページが痛んだり、糊の劣化によりページが外れてしまいます。よくやってしまいがちですが、漫画を開いたまま伏せて置くだけで日々ダメージが蓄積し、最後には背が割れてしまうこともしばしば。

 破損した漫画はできる限り補修をしますが、古くなった本は繊細なため、補修には多くの時間と技術が必要です。また、外れたページがなくなるなど補修ができない場合は、廃棄処分にせざるを得なくなります。最近は電子書籍の普及で早々に増刷されなくなる漫画も多いため、なかなか新しく買い替えることも困難です。末永く漫画を楽しむために、一冊一冊を大切に読んでいただけるとうれしいです。

 夏休みもそろそろ折り返し。プールや海もいいけれど、北九州市漫画ミュージアムにたくさんの漫画を読みに来て下さいね!

(図書担当 田中千尋)