北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2024年04月27日
(486)「さいとう・たかを賞」受賞作品展 分業制作の作品を紹介

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第486回
『西日本新聞』北九州版 2024年4月21日(日)朝刊 16面掲載

「さいとう・たかを賞」受賞作品展
分業制作の作品を紹介

 代表作「ゴルゴ13」で知られる劇画家さいとう・たかを先生は、日本のマンガ界に分業制を導入し、確立させたパイオニアです。漫画家は一般に、担当編集者とアイデアを一緒に考えたり、作画をアシスタントと分担したり、サポートをいろいろ受けながら作品を制作します。それでも、本人にしかできない領域はやはりあって、個人の技術や労力に依存する不安定な制作態勢だとはいえるでしょう。

 さいとう先生が1960年に設立した「さいとう・プロダクション」は、さいとう先生本人も含めた全員がスタッフとして制作を分担し、それぞれの持ち味を発揮することが特徴です。

 例えば「ゴルゴ」では、シナリオ(脚本)と作画の分担はもちろんのこと、物語のもとになる時事問題の取材や、シナリオをどういうコマ運びで作画するかを設計するコンテ(ネーム)なども専門的なスタッフが分業。さらに作画も、人物や背景、あるいは銃器などのメカニックを、得意とするスタッフが分担して描く。こうすることで、効率的で安定した進行管理のもと、作品の質も量も高めることができるのです。

 北九州市漫画ミュージアムでは、さいとう先生の発案で2017年に設けられた「さいとう・たかを賞」の歴代受賞作品を、複製原画で紹介する展覧会を今月27日から開催します。この賞は、シナリオと作画の分業により制作された優れた漫画作品が対象で、これまでに6作品が受賞(第4回のみ、作品でなく作家に贈賞)。分業制に支えられた、物語の壮大な広がりや重厚で繊細な作画に、ぜひ触れてみてください。

(学芸担当係長 表智之)