2026年04月22日
(586)モノクロ原稿に見る「マンガ術」作業効率の工夫 さまざま
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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第586回
『西日本新聞』北九州版 2026年4月19日(日)朝刊 14面掲載
モノクロ原稿に見る「マンガ術」
作業効率の工夫 さまざま

北九州市漫画ミュージアムで開催中の収蔵作品展「北九州が生んだ漫画家たち―七色のマンガ術―」では、7名のマンガ家から寄託を受けた約14万点の資料のうち、350点を抜粋して紹介しています。
展示の中核をなすのは、モノクロで描かれた本編原稿です。なぜなら、モノクロ原稿にこそ、作家の特徴的な「マンガ術」が現れるからです。それは作画上のこだわりであったり、効率化であったりさまざま。ここでは後者に注目し、出展作家のうち、男性向けの娯楽作品を数多く発表した国友やすゆき先生と神江里見先生を例に出しましょう。
この2人の共通点は、週刊連載を多数手がける多忙な作家で、チームで制作にあたっていたということです。ストーリー構成から作画の仕上げまで、マンガ制作には膨大な時間と労力が必要になるため、1人で週刊連載をこなすのは並大抵のことではなく、たいてい分業制が取られています。いかに作業を素早く無駄なく進めるかが、常に時間に追われる週刊連載の現場ではとても重要なのです。
国友先生の場合、複数人が同時に作業できるよう、1枚の原稿をコマや段で物理的に切り離していました。完成した原稿には、ガムテープで貼り合わせた跡がはっきりと残っています。神江先生の場合は、コピー機で複写した絵を拡大・縮小・反転し、原稿に直接貼り付けることで作画作業を効率化していました。
こうした現場の奮闘が原画には生々しく刻まれています。ぜひ会場でその軌跡をご覧ください。
(学芸員・石井茜)
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