ひとことブログ

2021年06月14日
(349)「また来てねシタミさん」 失われた故郷取り戻す旅路

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第349回

『西日本新聞』北九州版 2021年6月10日(木)朝刊 17面掲載

「また来てねシタミさん」
失われた故郷取り戻す旅路

 昨年6月、北九州市育ちの漫画原作者・青木潤太朗先生の新作「また来てねシタミさん」(漫画・隆原ヒロタ)を当コラムで紹介しましたが、さきごろ雑誌連載を終え、単行本第2巻が講談社より発売中です。
本作は、主人公の美少女・シタミさんが、失われた故郷を取り戻す物語。ある犯罪組織に捕らわれ、機械のように精密な暗殺者として育てられた彼女には、過去の記憶がありません。夢に出てくる自宅や近所の公園など、断片的な風景だけが手がかり。同じ組織から脱出した仲間・カザミさんと共に、市井の人々の依頼を受け、法で裁けぬ悪党を始末する「殺し屋」を営みつつ、シタミさんは全国を巡ります。失った故郷、記憶、人として大切なものを取り戻すために。
シリアスな物語を彩るのは、土地ごとの特産品や名物を利用して任務を遂行する「ご当地殺法」。ありふれた物を使うことで凶器の痕跡を残さず、「事故」として警察の目を欺くためです。過去の記憶を持たないシタミさんには、訪れる地の全てが新鮮に映り、各話の前半はまるで、ほのぼの観光マンガ。そこから一転、優秀な身体能力を駆使しての活劇アクションへ。この落差がクセになる味わいです。
同じ組織出身である別の殺し屋の暗躍や、任務先で出会った新たな仲間など、物語は進み、シタミさんの表情もより感情豊かにほぐれてきましたが、通算10話で雑誌連載はいったん終了。別の形で再起を期すとのことですから、シタミさんが故郷を取り戻すその日まで、皆様応援よろしくお願いします!

(専門研究員 表智之)

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◆青木潤太朗・隆原ヒロタ「また来てねシタミさん」(講談社マンガアプリ「マガポケ」)