北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2021年11月25日
(367)小倉育ち・わたせせいぞう 風情たっぷり豊かな色彩

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第367回

『西日本新聞』北九州版 2021年11月18日(木)朝刊 19面掲載

小倉育ち・わたせせいぞう  風情たっぷり豊かな色彩

 おしゃれな絵柄とあたたかな物語で読者をひきつけてやまない、北九州ゆかり漫画家わたせせいぞう先生。1974年のデビューから半世紀近くを経て、今なお旺盛に活動を続けています。

わたせ先生は45年神戸生まれの小倉育ち。83年から『週刊モーニング』(講談社)で連載した「ハートカクテル」で人気を確立しました。2005年の北九州空港開港記念ポスターなど、長年、手掛けている広告イラストの数々でもお馴染みだと思います。

2010年代に務めた神奈川大学の特任教授職や、第47回北九州市民文化賞の受賞(14年度)など、執筆以外の多彩な文化活動でも高く評価されています。

 最新の漫画作品は、先ごろ単行本第1巻が刊行された「なつのの京〜父のソナタ〜」。主人公の女性「なつの」が、バイオリン職人を目指しイタリアへ留学中に、女将だった母の不慮の死により、残された祖母とともにお茶屋の女将を継いで3年が経った頃から始まる物語です。

京都の家並みや舞妓などを風情たっぷりに描き、モノクロ主体ながら、塗りの濃淡を巧みに使い分けて豊かな色彩を感じさせます。

 わたせ先生によると「女性が主人公の作品は、鎌倉を舞台にした夫婦の物語『菜』」以来30年ぶり。次は京都のお茶屋さんを舞台にした女性を描きたいなと思って描き始めたのが『なつのの京』です。現在、『ビッグコミック増刊号』(小学館)にも連載中。ぜひご覧ください」とのこと。新年には博多で作品展とサイン会も開催されますので、この機会にわたせ作品の息吹に触れてみてください。

 

 

(学芸研究員 柴田沙良)

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2022年1月3日(月)~1月10日(月・祝)サイン会の詳しい情報はこちらから

http://www.apple-farm.co.jp/