北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2022年09月29日
(406)北九州ゆかりのムロタニ・ツネ象 学習漫画の開拓者

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第406

『西日本新聞』北九州版 2022年9月4日(日)朝刊 14面掲載

北九州ゆかりのムロタニ・ツネ象
学習漫画の開拓者

 教材として学校や家庭で活用され、多くの子供たちの学びの第一歩となっている「学習漫画」。楽しい読み物でありつつ、歴史や科学、数学や古典などについて自然に学習できる“優れもの”です。今回紹介するムロタニ・ツネ象は、この「学習漫画」というジャンルを開拓し、その成長に貢献した代表的な漫画家です。

 1934年大阪府生まれ、唐津市で育ったムロタニは、少年時代から漫画家を目指し精力的に創作していました。門司にあった新聞社に就職し、53年にはプロとして『毎日中学生新聞』西部版に「日本歴史漫歩」を発表。以後、SF劇画やドタバタコメディ、恐怖漫画など多様な作品を世に送り出しました。そのキャリアで一貫して取り組んでいたのは、デ歴史を題材にした学習漫画でした。

 初期には新聞紙面で、古代から日本の歴史をたどる『毎ちゃんの日本史』や日本各地の風土や名物を紹介する『毎ちゃんの修学旅行』を執筆。その後は学年誌や少年誌で偉人の人物伝などを、そして70年代から90年代にかけては、学研などの学習教材に特化した出版社のもとで「世界の歴史」や「日本の歴史」といったシリーズものの描き下ろし単行本を数多く担当しました。

 描いていない時代はないのではないかという程に歴史学習漫画を発表し続けたムロタニ。親しみやすく可愛らしいキャラ造形と、史実にユーモアを交えた明朗快活とも言うべき作風は、幅広い世代の記憶に残されています。
惜しくも昨年逝去したムロタニの業績と、その漫画史的な意義を語り尽くすイベントを10月10日に開催します。ぜひご参加ください。

=MEMO=

特別展「〈新聞〉がつないだ漫画家たち~北九州の漫画文化を育てたもの~」
関連イベント「ムロタニ・ツネ象を語る会」
日時:10月10日(月祝)14時~15時30分
※WEB配信あり⇒こちらから(申込不要・参加無料)
会場参加の申し込みは093-512-5077まで

(学芸員 石井茜)