北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2022年09月30日
(409)シニア主人公の作品 多様なジャンルで増加

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第409

『西日本新聞』北九州版 2022年9月25日(日)朝刊 16面掲載

シニア主人公の作品 多様なジャンルで増加

 ここ数年の間にシニアを主人公とした漫画作品が増えてきました。生き生きと新しいことに挑むものや、高齢社会の生きづらさを描いたものなど、ジャンルは多様です。今回は、シニアを主人公とした作品を紹介します。

 『ミカコ72歳』(新久千映/コアミックス)は、亡くなった夫の交流サイト(SNS)のアカウントを偶然見つけた妻・ミカコが、その日の出来事や思いついたことなどを夫のアカウントに送る日常を描いた物語。「既読」にならない一方通行な投稿にもかかわらず、楽しそうにメッセージを送るミカコを周りは奇妙に思っていましたが、ミカコとの会話でハッと気づかされることも。クスっと笑えるほのぼのとした作品です。

 『グランマの憂鬱』(高口里純/双葉社)は、閉鎖的な村の惣領・百目鬼(どうめき)ミキと孫の亜子による最強コンビが、周囲で起こる嫁姑問題や特殊詐欺などのさまざまな問題を解決していくヒューマンドラマ。ミキの「黙らっしゃい!」の一喝や奥深い格言に、読後スカッとした気持ちになります。

 北九州市漫画ミュージアムの閲覧ゾーンでは現在、シニアが活躍する作品を紹介する特集コーナーを設けています。超人的なパワーを宿したさえない初老男性と冷酷な高校生が、人類の命運をかけて繰り広げる壮絶なバトルを描いた『いぬやしき』(奥浩哉/講談社)や、深夜のコンビニでアルバイトをするちょっと訳ありな高齢男性を主人公とした『島さん』(川野ようぶんどう/双葉社)など、人生経験を積んできた主人公だからこその魅力を感じられる作品がいっぱいです。ぜひ、手に取ってご覧ください。

(図書担当 原田佳織)