北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2023年06月12日
(438)これからの漫画ミュージアム 多彩な原画展 目白押し

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第438回
『西日本新聞』北九州版 2023年5月7日(日)朝刊 16面掲載
これからの漫画ミュージアム 多彩な原画展 目白押し

 北九州市漫画ミュージアムは現在、「描くひと 谷口ジロー展」を開催ですが、夏季、秋季、冬季の企画も、それぞれ異なる魅力を持つ漫画原画展を予定しています。

 夏季企画は「鬼灯の冷徹 原画展 地獄資料館」。『鬼灯の冷徹』は閻魔大王の補佐官である鬼灯(ほおずき)と、彼を取り巻く個性豊かな登場人物たちが繰り広げる楽しい地獄の日常を描いた江口夏実先生による作品です。

 全編アナログで執筆されており、本展では約190点の原画を展示しますが、中でも出色なのが、扉絵や雑誌の表紙のために描かれたカラーイラスト。色鉛筆、カラーマーカー、水彩絵の具といった多彩な画材を用いて、層を成すように緻密に描きこまれた原画は圧巻のひと言です。印刷では表れない質感や、細部まで遊び心に溢れた描画をじっくりと鑑賞できる機会をお見逃しなく。

 秋季は、北九州ゆかりの少女漫画家・文月今日子先生の画業50周年を記念した展覧会を開催します。その作品、特にカラーイラストは、清らかな草花と、それらと調和するたおやかな女性像が印象的。当館収蔵となった膨大な原画の中から、珠玉の作品をたっぷり紹介します。

 冬季恒例企画の「北九州国際漫画祭」では、森薫先生の『乙嫁語り』を取り上げます。19世紀半ばの中央アジアに生きる女性たちを当時の風俗とともに鮮やかに描く本作。繊細に重ねた線で表現される美しい装束や風景、濃密な「黒」が活きた、輝くような髪・瞳の描写など、モノクロ原画にぜご注目ください。

 いずれも原画を見る楽しみに満ちた展覧会です。どうぞお楽しみに!

(学芸員 石井茜)

=MEMO=
「鬼灯の冷徹 原画展 地獄資料館」会期:7月1日(土)~8月31日(木)、「デビュー50周年 文月今日子展」会期:9月16日(土)~11月26日(日)、「北九州国際漫画祭2023 大乙嫁語り展」会期:12月16日(土)~2024年1月28日(日)