北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2023年06月22日
(444)台湾漫画家が滞在制作 若手2作品ついに完成!

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第444回
『西日本新聞』北九州版 2023年6月18日(日)朝刊 18面掲載
台湾漫画家が滞在制作 若手2作品ついに完成!

 昨年は北九州市や当館にとって、台湾との漫画文化交流が熱い一年でした。その中の事業の一つ、11月から12月にかけて市が実施した台湾漫画家による「アーティスト イン レジデンス」では、柚子さんとPETER MANNさんという若手作家2人が1カ月にわたって北九州市に滞在し、さまざまな景勝地・グルメ・文化を取材。滞在中にいくつかのイラストレーションを制作した作家達でしたが、実は帰国後も制作活動を続け、このたび北九州市を舞台にした長編ストーリー漫画2作が完成しました!

 柚子さんが描いたのは、現代にタイムスリップした宮本武蔵と、日本のイケメン俳優にハマった台湾女子が北九州市で出会う「おそいぞ!!武蔵」。かみ合わないふたりが繰り広げる奇妙な珍道中が笑いを誘うコメディーです。作画面では、柚子さんの持ち味である緻密な描線で迫力満点に表現された平尾台や鍾乳洞、皿倉山からの夜景なども見どころです。

 PETER MANNさんは「北九州市へワープ!」というタイトル通り、台湾の女子学生がひょんなことから門司港に転移してしまうところから話が始まります。現地で出会った女性「田中さん」は、彼女に”北九州市らしいグルメ”を味わわせようと奮闘しますが、うまくいかず…。名物を食べれば、名所に行けば「観光」なのか、深く問いかける作品になっています。

 二つの物語は「いざ!北九州市へ!2022」と題した冊子に掲載され、当館や北九州市役所文化企画課で配布しています。ぜひこの作品集を片手に、物語に登場する北九州の素敵なスポットを巡ってみてはいかがでしょうか。

(学芸員 石井茜)

=MEMO=
滞在制作作品は北九州市のサブカルチャー情報サイト「i-MAP」でもご覧いただけます。