2025年07月04日
(546)東京で松本零士展、9月には北九州で 「創作の旅路」をたどる
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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第546回
『西日本新聞』北九州版 2025年6月29日(日)朝刊 16面掲載
東京で松本零士展、9月には北九州で
「創作の旅路」をたどる
漫画家・松本零士先生の魅力を、300点以上の肉筆原画など貴重な資料でたどる「松本零士展 創作の旅路」が、東京・六本木で今月20日に開幕しました。9月27日から北九州市漫画ミュージアムでも巡回開催しますが、ひと足先にポイントを紹介しましょう。
宇宙を舞台とする壮大なSFファンタジーで世界的に知られる松本零士先生ですが、それ以外にもさまざまな側面を持っています。中学生や高校生の頃は昆虫漫画に特に注力し、1954年に「蜜蜂の冒険」が雑誌で入選し掲載。57年から少女漫画誌で活躍した後、61年から少年向けのSF作品を雑誌連載するようになります。少年漫画に主軸を移す過程でペンネームも、本名を平仮名表記にした「松本あきら」から松本零士に、65年ごろ改めました。
60年代の後半には青年漫画に進出。その中から、粗末な下宿に暮らす九州出身の青年を描く悲喜劇が人気を博し、71年から連載の「男おいどん」が大ヒットして、漫画家としての地位を確立します。こういった蓄積があってこそ、「銀河鉄道999」や「宇宙海賊キャプテンハーロック」など、70年代後半の大活躍があるのです。
本展では、松本零士先生が創作世界を広げていく過程をたどった上で、代表作「銀河鉄道999」に見られる豊かな想像力とメッセージ性や、特徴的な作画技法などを掘り下げています。展示や図録の解説文は当館が執筆しており、北九州ゆかり作家を代表する存在として、その足跡や歴史的意義を追究してきた成果のお披露目でもあります。当館ならではのイベントなども企画中ですので、続報を楽しみにお待ちください!
(学芸担当係長 表智之)
=MEMO=
「松本零士展 創作の旅路」は9月7日まで東京で開かれた後、9月27日から来年1月12日まで、北九州市漫画ミュージアムで巡回開催。
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▶「松本零士展 創作の旅路」公式サイト
▶2025/9/27~2026/1/12 北九州市漫画ミュージアム 巡回開催