北九州漫画ミュージアム

ひとことブログ

2025年10月06日
(560)18日に招聘イベント「フランス読書の秋」 ベルギー作家、語りと作画

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第560回
『西日本新聞』北九州版 2025年10月5日(日)朝刊 16面掲載
18日に招聘イベント「フランス読書の秋」
ベルギー作家、語りと作画

 北九州市漫画ミュージアムが九州日仏学館と毎年共同で開催している「フランス読書の秋」作家招聘イベントの季節になりました!

 今年のゲストはベルギーの漫画家アリックス・ガラン氏。病などで傷ついた人への「ケア」をテーマに、ベルギーの状況や、ケアへの向き合い方・考え方について、ご自身の経験や取材を通して感じたことなどを、作画実演を交えながら語っていただきます。

 ガラン氏は、1997年ベルギーのナミュール生まれ。幼い頃からバンド・デシネ(フランス語圏の漫画)に親しみ、イラストレーターとして勤務しながらデビュー作となる『わたしを忘れないで』(太郎次郎社エディタス)を制作しました。

 ベルギーで数々の賞を受賞した本作は、介護施設で希望を失い弱っていく認知症の祖母を見かねた主人公が、祖母の思い出の中に存在する故郷を探すために、密に施設から連れ出す逃避行を描いた物語。その旅路で遭遇する出来事や祖母との対話を通して、自身のアイデンティティー、生と死、家族との関係などを見つめ直していく意欲的なストーリーです。

 主人公の若者を取り巻くさまざまな葛藤や問題を複雑に絡み合わせながらも、一つの物語として破綻せずに語る技術が素晴らしく、柔らかな画風とは裏腹に、日常の中で見落としてしまいそうな出来事や感情の機微を鋭く切り取る視点と描写力に圧倒されます。

イベントでは、難しいテーマや複雑なストーリーをどのように作品の中で表現するのかという創作の過程にも迫っていきますので、海外漫画に興味のある方も是非参加してくださいね!

(図書担当 田中千尋)

=MEMO=

フランス読書の秋2025トークイベント

“痛み”に向き合うということ 漫画家の目を通して見たベルギーの緩和ケア」は

18日(土)午後3時~4時半、北九州市漫画ミュージアムで開催。

参加方法など詳細はコチラへ。

 

=LINK=

📚アリックス・ガラン先生の翻訳作品📚
『わたしを忘れないで』(日本語翻訳版/太郎次郎社エディタス)