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2021年05月01日
(341)文化庁メディア芸術祭受賞作 大賞に「3月のライオン」

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第341回
『西日本新聞』北九州版 2021年2月18日(木)朝刊 17面掲載

文化庁メディア芸術祭受賞作

大賞に「3月のライオン」

 文化庁メディア芸術祭の受賞作品が発表になりました。映像や電子機器を活用した芸術表現「メディアアート」や、マンガ・アニメ・ビデオゲームなどの優秀な作品を毎年顕彰するもので、今年が第24回。審査は公募制で、応募のあった作品の中から各ジャンルの専門家が選出し、私も第22回からマンガ部門の審査委員を務めています。
 マンガ部門の今年の大賞は羽海野(うみの)チカ「3月のライオン」。高校生棋士を主人公とする青春もので、物理的には動きがなく絵にしづらい盤面の格闘技・将棋を、巧みな心理描写でドラマチックに盛り上げる画力と構成力が光りました。すでに複数の受賞歴があり、アニメ化もされた盤石の人気作ですが、最新巻で物語が重要な節目を迎えたこともあり、未読の方はこの機会にぜひご一読を。
 今年は横綱級の大ヒット作品の応募が目立ち、野田サトル「ゴールデンカムイ」が大賞を最後まで争いました。審査委員一同熟考の結果、同作は、社会への強い影響力を主眼とする「ソーシャル・インパクト賞」を受賞。アイヌの文化やその苦難の歴史に熱い注目を集め、北海道の地域振興にも貢献した功績を讃(たた)えてのことです。
 「審査委員会推薦作品」として選出した29作品の中では、megumireland「水辺のできごと」(自費出版)が印象的でした。版画のような素朴な筆致の幻想的な作品で、佐賀のお国言葉も味わい深い佳品です。他に優秀賞(4作品)や新人賞(3作品)、功労賞などがあり、詳しくは文化庁メディア芸術祭の公式サイトをご覧ください。

(専門研究員 表智之)


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「文化庁メディア芸術祭」公式サイト

マンガ部門受賞作品紹介