北九州漫画ミュージアム

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2022年06月30日
(395)「父の日」特集 多様な父の姿を紹介

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★

連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第395回

『西日本新聞』北九州版 2022年6月19日(日)朝刊 18面掲載

「父の日」特集 多様な父の姿を紹介

 漫画家の中には親子2代で活躍されている方もいます。

 近年ですと、『刃牙(バキ)』シリーズ(秋田書店)の生みの親・板垣恵介先生と、『BEASTARS(ビースターズ)』(秋田書店)の板垣巴留(ぱる)先生が親子だと公表されたことは、記憶に新しいのではないでしょうか。

 また『女子高生』(双葉社)などの作品で知られている大島永遠(とわ)先生は、なんと一家4人全員が漫画家という珍しい家族構成。父は『バツ&テリー』(講談社)などを代表作に持つ大島やすいち先生です。

 偉大な漫画家を父に持つ板垣巴留先生と大島永遠先生ですが、2人ともデビュー当時は父親について公表していませんでした。その理由として、「父親の七光りと思われたくなかった」と後に語っています。実力が物を言う漫画家業界で、自身の力で開拓してきたのは間違いありません。しかし、そう思わせてしまうほど、同業者として父親の存在は大きいのでしょう。

 エッセー漫画『パルノグラフィティ』(板垣巴留/講談社)、『まんがかぞく』(大島永遠/双葉社)の中では、それぞれの父娘エピソードについてもつづられています。個性の強すぎる板垣恵介先生や素直ではない大島やすいち先生など、漫画家ではなく父親としての一面を見ることができますよ。

 北九州市漫画ミュージアムの閲覧ゾーンにあるソムリエコーナーでは、「父の日」に合わせた特集を展開中です。前述した漫画の他に、計23人の有名漫画家の2世にインタビューし、その漫画家のタッチで各話描いた『ペンと箸』(田中圭一/小学館)など、一風変わった「父親の姿」を描いた作品を紹介していますので、ぜひご覧ください。

(図書担当 原田佳織)