北九州漫画ミュージアム

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2023年12月21日
(469)大乙嫁語り展 漫画で味わう中央アジア

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連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第469回
『西日本新聞』北九州版 2023年12月10日(日)朝刊 24面掲載
大乙嫁語り展
漫画で味わう中央アジア

 北九州市漫画ミュージアムが例年冬季に開催している企画展「北九州国際漫画祭」。これは漫画を通じた国際文化交流をテーマした展覧会で、これまでに韓国や台湾、東南アジア、フランス語圏などの作家・作品を取り上げてきました。今年は「漫画で見る海外文化」というテーマで、19世紀半ばの中央アジアを舞台にした森薫氏による漫画「乙嫁語り(おとよめがたり)」を取り上げます。

 「乙嫁語り」は、中央アジアを旅するイギリス人・スミスが各地で出会う“乙嫁(美しいお嫁さん)”の存在を中心に、彼女たちの日常やロマンス、そして巻き起こる事件を描いた作品です。

 中央アジアとはユーラシア大陸中央の内陸地域で、現在はウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンなどを指します。本作の特徴はなんといっても、これまで日本人になじみの浅かったこの地域の文化と風土を魅力的に描いた点にあるでしょう。

 例えば、女性たちが嫁入り前の準備や日常の仕事として取り組む「布支度」には精緻な刺繍が不可欠ですが、作中では細やかな描線を駆使することで、手仕事が生み出す圧倒的な美しさを表現しています。彼らが日常で使うもの、住まう家、まとう衣、装飾品…そのひとつひとつが丹念に描写された本作を読めば、いつしか中央アジアのとりこになることでしょう。

 企画展「北九州国際漫画祭2023 大乙嫁語り展」では、作者直筆のカラー、モノクロ原稿を100点以上のボリュームで展示します。あまたの原画から伝わる中央アジアの空気を、ぜひ会場でご体感ください。

(学芸員 石井茜)

=MEMO=
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