北九州漫画ミュージアム

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2025年09月14日
(556)「エコエコアザラク」50周年展 怪奇漫画の金字塔に迫る

★過去記事のアーカイブ掲載になります。各種情報は新聞掲載時点のものです。★
連載コラム『出会い 探検 漫画ミュージアム』第556回
『西日本新聞』北九州版 2025年9月7日(日)朝刊 16面掲載
「エコエコアザラク」50周年展
怪奇漫画の金字塔に迫る


「怖い話」や「奇妙な話」、みなさんはお好きですか?恐怖や不安を与えるにもかかわらず、いつの時代も愛されているジャンルですが、漫画界では1950年代末に「怪奇漫画」専門の雑誌が次々と生まれ、本格的な流行期を迎えます。

 その黎明期からジャンルを支えていたのが、福岡県大牟田市出身の漫画家・古賀新一先生です。36年に生まれた古賀先生は中学卒業後、働きながら独学で漫画を習得し、58年にプロデビューを果たします。以後、貸本屋向けの漫画雑誌「怪談」などで作品を執筆し、64年に「週刊マーガレット」で連載した『白へび館』で怪奇漫画家としての地位を確立。まず少女誌で起こった「こわいまんが」流行はその後少年誌にも波及し、彼も様々な雑誌で八面六臂の活躍をみせていました。

 そして70年代、古賀先生は怪奇漫画の金字塔となる作品を生み出します。それが「週刊少年チャンピオン」に75年から79年にかけて連載した『エコエコアザラク』。中学生にして黒魔術を操る魔女・黒井ミサが、悪や暴力、人間の卑しい欲望に魔術で苛烈に対抗する、痛快で時に残酷な物語です。70年代のオカルトブームも追い風に人気を博し、古賀先生の代名詞といえる作品となりました。

 北九州市漫画ミュージアムでは、『エコエコアザラク』連載開始50周年を記念し、カラーイラストや名シーンの数々を迫力の肉筆原画で紹介する展覧会を開催します。恐怖を掻き立てる緻密な筆致、鬼気迫る悪魔的な儀式の描写、西洋の宗教画や幻想画をオマージュした印象的な扉絵などを、ぜひ間近でお楽しみください。

(学芸員・石井茜)

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